Blog ブログ

「労力」が逆に顧客満足度を高める?イケア効果とは

ビジネス
工具の画像

こんにちは。NET SANYOのK2です。
突然ですが、皆さまにはこのような経験はありませんか?

  • 自分で作ったお菓子は、市販品ほど凝っていなくてもすごく美味しく感じる。
  • 自分で作ったプラモデルや家具には特に愛着がある。
  • 子供の頃、自分で手を加えて完成させる「知育菓子」が大好きだった。

これらの経験には「イケア効果」という心理効果が影響しています。
イケア効果とは「自分で作ったものに高い価値を感じる」心理効果です。イケア効果は日常生活だけでなく、ビジネスにも密接に関わっています。

今回はこのイケア効果のご説明、そしてビジネスでの活用法や注意すべきデメリットをお話しいたします。

イケア効果とは

「イケア効果」は家具量販店「IKEA」から名付けられています。
IKEAは家具を組み立て式にすることでコストを削減し、低価格を実現しています。

人は始めから完成された家具よりも、自分で作ったIKEA等の組み立て式家具に価値があると感じることから、この心理効果に「イケア効果」という名前がつけられました。

イケア効果を実証した実験に、次のようなものがあります。

マイケル・ノートン、ダニエル・モション、ダン・アリエリーらの行った実験です。彼らは被験者を2つのグループに分け、それぞれのグループに異なる課題を与えました。片方のグループには家具を組み立てさせ、もう片方には、プロの組み立てた家具の点検だけをさせました。

作業終了後、被験者らに自分の組み立てた/点検した家具に値段をつけさせたそうです。すると点検だけしたグループと比べ、組み立てたグループは、自分の家具に63%も高い価格をつける傾向があったそうです。

このように、自ら作ったものを過大評価し、他人にとっても高い価値があるように感じる心理効果を「イケア効果」といいます。

イケア効果により売上が向上した例−ホットケーキミックス

ホットケーキ

イケア効果により売上が向上した例として、ホットケーキミックスが挙げられます。
ホットケーキミックスは今でこそロングセラーの人気商品ですが、発売当初は売れ行きが芳しくありませんでした。

当初のホットケーキミックスは、現在販売されているものよりも更に簡単な、粉に水を混ぜて焼くだけで作れるものでした。それほどお手軽なのに、なぜかヒットしなかったのです。

そこで「調理が簡単すぎるのが売れない原因ではないか」と考え、ホットケーキミックスから卵と牛乳の成分を抜いたそうです。現在売られている、購入者が卵と牛乳を混ぜて焼くタイプの商品です。このタイプのホットケーキミックスに変えて売り出したところ、売れ行きが劇的に向上したそうです。

普通なら「ユーザーの手間は、少なければ少ないほど喜ばれる」と考えてしまうかもしれません。
しかし、この事例では逆にユーザーの手間を増やすことで、手作りの楽しみや「自分で作った」という満足感を与えました。その結果として商品がヒットしたのです。

ビジネスにおける活用法

ビジネスにイケア効果を活用することで、マーケティングのほか社員のモチベーションアップ等にもつなげることができます。
ビジネスにおける活用例をいくつかご紹介します。

  • ホットケーキミックスやIKEA家具のように、ユーザーにあえて一手間かけさせることで、楽しさや満足感を与えることができる。
  • 企画課でない社員も商品の企画会議に参加させることで、自社商品に対する自信が強まり、営業などに生かすことができる。
  • 若手に簡単な仕事ばかりでなく、ある程度労力のかかる仕事も与えることで、モチベーションを高めることができる。
  • 工場勤務の社員に一つの工程だけをやらせるのではなく、商品製造の全工程を経験させる。商品に対する愛着を作り出し、モチベーションを高めることができる。

イケア効果の与えるデメリット

イケア効果は、ビジネスに必ずしも良い影響を与えてくれるわけではありません。以下のようなデメリットにつながることもありますので、注意しましょう。

  • 自分で作った企画やデザインを、無意識に過大評価してしまう。
  • 自社商品やサービスを充分な根拠なく「売れる」と思い込んでしまう。

イケア効果によって、自ら制作したものは実際以上に良く思えてしまいます。
自分で作った企画やデザインは直感で判断せず、ターゲット分析等の論理的な視点で評価しましょう。

まとめ

イケア効果の及ぼすメリットを上手く活用していただき、また同時にデメリットの影響を受けないよう注意していただければと思います。

ではでは、K2でした!

参考

WRITER

K2

印刷物・Web・動画制作会社「NET SANYO」の中の人です。Perfumeにドはまりしている息子(3歳)により、一緒に歌う際のっち役をするよう命じられました。頑張ろうと思います。